「あのさー」 フランシスは、目の前の光景に半ば唖然としながら切り出した。 「お前ら、何やってんの」 「え? 何って?」 「別に、普通に座ってるだけだろう?」 「いやいやいや、ちょっと待て。それを『普通』に座ってるだけと言うか普通?」 おかしいだろ、と重ねて突っ込むフランシスに、目の前の2人──本田菊とアルフレッド・F・ジョーンズは揃って顔を見合わせた。それこそ、鼻と鼻がくっついてしまいそうな距離で。 アルフレッドがあぐらを組んだ膝の上に、菊がちょこんと腰掛けている。そうして自分よりも体格の良いアルフレッドの胸にすっぽりと納まってしまった菊の手に握られたスナック菓子の袋に、アルフレッドも全く躊躇うことなく手を伸ばし、菊もそれを不思議に思うでもなく受け入れて──ああもう! 何もかもおかしいだろソレ!!! 「別に、いつも通りですけど」 「だよね」 「お前らいっつもそんななのかよ」 3人でゲームをしましょうなんて、そんな誘いに乗らなけりゃ良かったぜ、と後悔しても今更遅い。アルフレッドと菊はその体勢のまま、当たり前のようにタッグを組んで、フランシス一人をフルボッコだ。タッグを組んで、と言うのは多少語弊があるだろうか。大体、アルフレッドは自分がやられそうになると菊にコントローラーを渡すのだから。菊も一応は「えー?」と言いながら、それを躊躇うことなく受け取って、あり得ないほどの逆境をはねとばしてしまう。お前、折角俺がそいつの体力、目盛り1まで減らしたのに! どうしてそこから逆転よ! そんなだから後ろの奴が成長しないんでしょうが! と一言文句も言いたくなる。格ゲーも落ちゲーも大抵そんな感じだった。ぷよっとしているアレなんか、どうしてそこから七連よ! と頭を抱えたくなるような逆転をされた。瞬殺ってどういうことだ。 そもそも、どうしてこの二人がこんなに仲が良いのかがまず不可解だった。 アルフレッドは、フランシスにとっては宿敵というか腐れ縁として付き合いも深いアーサーという男の弟で、小さな頃から見知った仲でもある。一方の菊は、大学の先輩で、同じ同好会に所属し、ついでとばかりに同じサークルで同人誌を発行する仲間だった。 自分がそれぞれと親しいのは納得が出来るのだ。ただ、どうしてもこの2人が結びつかない。年も違う、学校も違う、住んでいる場所だって勿論違う。それなのにどうして。いったいどこで知り合ったのか。 「別に、普通に外で会って遊びに行ったりとか。待ち合わせとかしてないのに外で会っちゃったり」 「あー、アキバぶらつくことが多いですもんね。あとは家でゲームしたり本読んだりとか?」 「菊はたまに原稿に没頭しちゃうからつまんないけどね!」 あはははは、と顔を見合わせて笑う2人に「そこは笑いどころなのかそうなのか本当なのかどこがなんだ」と軽く小一時間ほど問い詰めたいような気分になる。大体、原稿、って。俺ら同じサークルなんだし、いっつも一緒に原稿してるじゃん。どんだけ原稿やってんの菊ちゃんてば! 話を聞けば、出会いは偶然。ゲームセンターで鬼神のごとき連勝を繰り返す菊にアルフレッドが弟子入りして以来の仲らしい。つまり師弟か……それもどうなの、と突っ込めば、「どうと言われまし「その時の菊は本当にクールだったんだよ!」と、目を輝かせるアルフレッドに言葉の後半を奪われて、けれどまんざらでもなさそうに頬を染める菊を見るハメになった。 何ソレ。君ってそんな、デレキャラだっけか。いつも原稿終わるまで席を立つことさえ許さないような、般若な君しか知らない俺っていったい何。相方ですかそうですか本当ですか? その間も菊とアルフレッドはべったりくっついたまま。2人の世界は幸せそうだ。 「……付き合ってんの、お前ら?」 「は?」 「ハハハハ! フランシス、君何バカなこと言ってんだい!」 「いやだってさ。その距離あり得ないっしょ、そうでもなきゃ」 「別に。普通に友達ですよ。ねぇ?」 「そうだぞ。友達なら普通これくらいだろ?」 「いやいやいや。俺もお前らと友達だけどそーゆーことはしないよなぁ?」 「当たり前じゃないか。どうして君とこんなことしなくちゃいけないんだよ。気持ち悪い」 「私はその髭剃ってくれるなら検討しても良いですけど」 でなけりゃ論外だ、的な物言いとやんわりとした笑顔に、ほんの少しだけ傷ついた。いや、そもそも全否定してくれちゃってる眼鏡っ子は置いといて、だな。つーかお前、そういうとこだけホントあいつの弟だよな。 そうする間にも、くっつくのを止めないっていうのは、相当重症なんじゃなかろうか、こいつら。 もー、勝手にやっちゃってー。好きなだけくっついていたらいいよ。 と思っていたのだ。その時は。 いや、そう思っていること自体は、今も変わらないのだが。 「で、相談って何よ」 今フランシスの前にいる菊は、ほんの一週間ほど前に会った菊とはまるで別人のようになっていた。表情は元々豊かな方ではなかったが、それが今はほとんど頬が動かないほどの無表情、その上顔色も最悪だ。眠れていないのか、目は充血して赤く色づいていた。それとも昨夜は布団の中で泣いたのだろうか。 「……アルフレッドさん、最近どうしてます?」 菊がこぼした問いは、フランシスにとっては予想通りのものだった。できるだけさりげなく、平静を装って尋ねた。決して、ここで彼の疑問を知っていたような態度を取ってはいけない。 「どうって? 別にいつもと変わんないっしょ? ってか、菊ちゃんのがあいつについては詳しんじゃないの?」 「…………です」 「はい?」 「最近、会ってくれないんです」 「……はぁ」 「いつもの店に行っても居ないし、家にも来ないし、家に行っても居ないし」 「うん」 「それが、もう一週間以上続いてるんです」 「え、たったそれだ「三日以上会わないなんてこれまでなかったんですよ!」 ……つーか、それもう恋人同士以外の何なのよ。親友と言うには気色悪い距離でしょうが。しかも君ら同じ学校でも同じクラスでとかでもなくて、よくそんだけ会ってたよね。そもそも、学校が違うという前に年齢という壁はないのか。 そう指摘すると、菊はしばらくなにやら考え込んでいた。 「……よく考えたら、そうですよね。私同じ学校のフランシスさんよりアルフレッドさんと会ってた方が多かったような」 「それホントに異常でしょ」 「ですね。……あんまり会いすぎて、鬱陶しいと思われたのかな」 「それはどうかな?」 フランシスは表情を改めて、菊に真正面から向き合った。 「どういう、意味ですか?」 急に態度の変わったフランシスに、菊も怪訝な表情を見せた。不安なのだろうか、瞳が僅かに揺れている。 「実はさ、あいつ──病気なんだよ」 「え?」 「大したことないし、言わないでいてくれって……言われてたんだけどさ。まぁ、なんつーの? ここの病気で」 そう言うと、フランシスは自分の胸の中心をとんとん、と指先で叩いた。 「上手くすればあっという間に治るんだけど、ちょっとやっかいな病気でね。……けっこう重症らしい」 「そ、そんな」 「大丈夫だって。そんな心配そうな顔するなよ。あいつ、身体が丈夫なのだけが取り柄なんだし」 菊の肩を励ますように叩いた。ほんの少しだけ罪悪感はあるけれど、とりあえずそれは心の中から追い出した。だってそうだろう。これは2人の為なのだ。 実は昨日、フランシスはアルフレッドからも相談を受けていた。 「菊に、会えないんだ」、と。 「はぁ」 気のない相づちを打つフランシスにも構わず、アルフレッドは一人どんよりと話し続けた。 「いつもの店に行こうと思っても足がそっちに向かないんだ。家にも行けないし。会ったらどうしようって思うと、家に居ることも出来なくて」 「うん」 「それがもう五日も続いてるんだ」 「え、たったそれだ「三日以上会わないなんて、これまでなかったんだぞ!」 ……だからどうした。俺なんてそれくらいいつもだぞ。とは言わずに、フランシスは親切にも「それで?」と先を促した。 「会いたいんだよ」 「ああ、そうなの」 「会いたいんだけどさ」 「会えばいいじゃん」 「それができたらこんな悩まないよ!」 アルフレッドの言い分はこうだった。会いたい、けれど会えない。 五日前、アルフレッドはいつも通りに菊の家に泊まり、菊と同じベッドで寝て(もちろんナニをするわけではなく隣同士で寝るだけ──ってなにソレ! 勿体ない!)、偶然真夜中に目覚めた。そうして、眠る彼を間近で見て、彼の唇がアルフレッドの名前を紡ぐところを見た、のだ。その瞬間、何かがアルフレッドの中で弾けた。その衝動のまま、菊に口づけて── 「それ以来一緒にいると辛いって?」 それ、寝てる人間に何かしたって罪悪感なんじゃ? と思っていたら、アルフレッドは少し考えてから首を振った。 「辛いって言うか、もやもやするんだよ。あの時の菊を思い出すって言ったら良いのかな。心臓がうるさいし、なんか気分が悪くなるんだ。熱が出たみたいになる」 「……は?」 「頭がぼーっとするし、一日中菊のことばっかり考えて他のことが頭に入らないんだ。もうすぐ試験だってのにさ」 「……ちょ、ちょっと待ておい。お前それって──」 「うるさいよフランシス。ちょっと黙っててくれないか。それでさ、一緒にいると苦しいんだけど、でも一緒に居ないともっと苦しいんだ。菊がなにしてるのか、誰か他のヤツと仲良くしてるんじゃないかって考えると、堪らなくなるんだよ」 「……」 「だから会おうとするんだけど、いざ会おうとすると余計に苦しくなって、それの繰り返し。もう嫌だよこんなの!」 「……」 「フランシス、黙ってるってひどくないかい!? 俺はこんなに真剣に相談してるってのに!」 黙ってろって言ったのはどこのどいつだ。 それはともかくとして、アルフレッドの言い分を聞くだけならば、これはもうどこからどう聞いても立派な単なる恋煩いだ。本人がそれに気がついていないという異常性を覗けば、いたってありふれた現象であり、感情だろう。付け加えるならば、とっくの昔に感じていておかしくない気持ちじゃないのかとか、お前これまでの人生でそういう気になったのはこれが初めてなのかつまり菊が初恋か!? とか。言いたいことは色々あったが、それはぐっと飲み込んだ。 そうしてここで問題が一つ。こいつにそれを正直に告げたところでおそらくは──否、『絶対に』納得しないだろうということだ。何しろこいつはひねくれものの代名詞のような、あの眉毛の弟だ。素直に人の忠告や忠言を聞き入れる質ではない。 それならば、取れる手段はただ一つ。 「なぁ、アルフレッド。落ち着いて聞いてくれ」 「……なんだい?」 「お前は、自分の症状をどう思う?」 「症状? どう、って?」 「おかしいとは思わないか?」 「それは、思うけど」 よし、乗ってきた。 「風邪じゃない。それは分かるな」 「う、うん。似てるけど、でも風邪だったらこんな風に胸は痛まないし」 「だろぉ? お前さ、痛む所ってどこだか、指で指してみろよ」 そう言うと、もちろんアイツが指したのは胸の中心。心臓の上だった。実に好都合だ。 「そこには、何があると思う?」 「──心臓、だけど」 「そう、心臓、だ」 意味深に繰り返し、フランシスは暗い表情を作って俯いた。確実にアルフレッドから表情が隠れたという確信が持てるところまで。そうしてから、口元をによりと緩ませた。ちょっともう、これ以上は我慢できなかった。 「どういう意味か、分かるよな」 笑いそうになるのを堪えたせいで、声が不自然に震えたが、どうやらそれが功を奏したようだ。頭の上からはっと息を飲む音が聞こえてきた。 「──ま、まさか、俺」 「俺は医者でもなんでもないから、はっきりしたことは言えないよ。でもきっと──どんな名医でも、その病気は治せない、だろうな」 もちろん草津の湯でもな〜、とは口に出さずに心の中で呟いた。声が震えそうになるのを堪えたからか、いつもよりも低い、ドスの利いた声となった。 「……俺、は」 「そんな顔すんなよ。菊が悲しむぞ」 ぽん、と肩を叩くと、今にも泣きそうな顔をしたアルフレッドがフランシスを見上げた。うわー、こいつのこんな表情初めて見たよ、と心の中で呟いて、フランシスはアメリカの目をじっと見つめた。人を信じさせたいなら、うそを吐いているときほど、相手の目から目を反らしてはいけない。 「菊、が……?」 「そうさ。その病気は、心の中にある気がかりなことが病を重くするんだって聞くぞ。菊に、ちゃんと聞いて貰ったらどうだ?」 「無理だよ。会えないって言ってるじゃないか」 「それでも、だ。大体、このまま一生あいつに会わないで過ごす気か? そんなの無理だろ?」 「それは……そうだけど」 答えなんかとっくの昔に出ているのに、ぐずぐずと言い続けるアルフレッドに、フランシスは「でなけりゃ、俺が菊ともっと仲良くなるからな」と脅せば、「それは無理だよ」とあっさりかわされたりなどしつつ。 兎にも角にも、近いうちに菊に会いに行くことを、フランシスに約束したのだ。 それなのに、未だにアルフレッドは菊に会いに来ていなかった。 何やってんだよアイツ、と思いながら、フランシスは菊に会ったその足でアルフレッドの家を訪れた。より正確に言うならば、彼と彼の兄──アーサーの二人が住まう家を。 呼び鈴を押すまでもなく、フランシスは隠してある鍵を出して玄関を開けた。 勝手知ったる他人の家だ。腐れ縁の友人であるアーサーは心底料理が下手くそで、消し炭ばかりを量産するのだ。フランシスが見るに堪えかねて料理を作りに通うようになったのが数年前。それ以来、お互いの家には出入り自由となっている。 玄関には乱暴に脱ぎ散らかされた運動靴。その横には、きちんと揃えておかれた革靴が。どうやら、もう彼は来ているらしい。 「──さい」 「…──も、……かい?」 二階の奥にあるアルフレッドの部屋から、なにやら声が聞こえてくる。それに誘われるように、フランシスは階段を上りかけ──途中で立ち止まった。ドアの前に、菊が居た。 「──だって、そんなの」 「入れてください! ご病気なんでしょう!?」 「それはそうだけど──でも、別に、今はなんともないし!」 「何ともないわけないでしょう! だってさっきだって顔が赤かったし──」 「そ、それは……っ! で、でも、顔が赤かったのは菊もじゃないか!」 「そんなの気のせいですっ。それに私のことなんてどうだっていいじゃないですか! 今は貴方の身体の方が大事です! 看病させてください!」 おやおや。ずいぶんヒートアップしちゃってるみたいだな。 によによと笑いながら、フランシスはすぐ脇の壁に背中をもたれさせて、彼らの会話を聞いていた。さてさて今後の展開はどうなることやら、だ。 「俺には菊の身体の方が大事だよ!」 「……え」 「それに、俺……俺は……」 「アルフレッドさん。あ、あの、それってどういう意味でしょうか」 「言葉通りの意味に決まってるじゃないか」 おおお! すっげぇ王道展開! いけ、アルフレッド! そのまま一気に告っちまえ! フランシスはぐぐっと拳を握って扉を見つめた。 「俺にとって、君は大事な友達だもの。誰より大切な友達なんだ」 「アルフレッドさん……」 ……おまえって子は! どうしてそこで大切な「友達」って言っちゃうの。そこは「ひと」って言っとくべきとこでしょうに。 ……しょうがないやつらだねぇ。 ここはやっぱ、お兄さんが一肌脱ぐしかないか? 「はいはい、そこまでそこまで」 「え、フランシス!? なんでキミがここに来るんだよ!」 何言ってんのかね、この子は。おおっとぉ。菊ちゃんもすごい目でにらんでるんですけど。傷ついちゃうぜ、俺。 フランシスはそのまま菊に近づき、菊の身体を抱きしめた。 「ちょっと、フランシスさん! 嫌ですっ、何するんですか!」 「何って、何? 俺は単に菊のこと、抱きしめてるだけだろー」 そう言いながら、耳許で囁いた。「その調子。天の岩戸を開ける方法、菊なら分かってんでしょ?」と。 「あっ、あんっ、だめですっ、フランシスさん! そ、そんなとこ……」 途端にノリノリで少し高めの声を出し始めた菊は流石だ。察しが良い。フランシスも役得とばかり、菊の肩を抱いて、セリフを合わせた。 「そんなこと言って。菊だってその気なんじゃないか? アルフレッドは俺らのこと入れてくれないし? 俺アーサーの部屋の鍵持ってるから、そっち行こうぜ。ベッドあ──」 「その手をどけろフランシス……っ!!!」 あっと思ったときにはもう遅かった。 勢いよく扉が開いて、そこからアルフレッドが勢いよく飛び出してきた。そうして、勢いよくフランシスの顔面めがけてこぶしを振り上げて──もちろん、それは勢いよくフランシスの顔面を捉え、あまつさえ、フランシスを勢いよく壁まで吹き飛ばした。 「あのさー」 フランシスは、目の前の光景に憮然としながら切り出した。 「お前ら、何やってんの」 「え? 何って?」 「別に、普通に座ってるだけだろう?」 「いやいやいや、ちょっと待て。それを『普通』に座ってるだけと言うか普通?」 おかしいだろ、と重ねて突っ込むフランシスに、目の前の2人──本田菊とアルフレッド・F・ジョーンズは揃って顔を見合わせた。そうして、顔を見合わせたついでに啄むように唇を繋げる。 アルフレッドがあぐらを組んだ膝の上に、菊がちょこんと腰掛けている。そうして自分よりも体格の良いアルフレッドの胸にすっぽりと納まってしまった菊の手に握られたスナック菓子の袋の中身は、時折菊によってアルフレッドに「はい、どうぞ」とアルフレッドの口に運ばれていた。アルフレッドもそれを至極当然のこととして受け入れていて──ああもう! 何もかもおかしいだろソレ!!! 「別に、いつも通りですけど」 「だよね」 「お前ら……なんか悪化してないか。ま、いいけど」 結局、アルフレッドに殴られ壁まで吹っ飛ばされた後、直ぐに気を失った。そして目が覚めたときにはもう、二人はこうなっていた。どうやらいろいろな意味で雨降って地が固まったらしい。良い迷惑だ。 ちなみに、病気だなんだとさんざん煽ったことについては、みっちりアルフレッドの兄から怒られた。ウソはウソとしてすぐにばれたのだが、草津の湯の下りを説明したら、菊に心底蔑んだ目で見られたことがちょっとショックだ。しかしどうやら照れ隠しだったらしく、後から秘蔵のフィギュアをくれた。どれだけフランシスが頼んでも譲ってくれなかった品だから、それなりに感謝はしてくれたらしい。 もう二度と喧嘩すんなよ、とか。そもそも、告白できずに俺巻き込むなよ、とか。言いたいことはたくさんあったが、とりあえずフランシスはそれらを飲み込んだ。 言ったって何も意味がないのだ、このバカップルには。 ああ、今日も世界は平和だ。 |